top of page
検索

【調査レポート】旅行意欲は緩やかに上昇

  • 執筆者の写真: 裕哉 中田
    裕哉 中田
  • 2025年11月19日
  • 読了時間: 10分

更新日:1月12日

2025年8月と10月に実施したアンケートでは、国内旅行経験者の増加と未旅行者の減少を背景に、旅行意欲は緩やかに高まりながらも中程度に留まることが分かりました。一方、目的や同行者によって予約タイミングが大きく異なり、温泉旅行は1~2か月前に計画される一方、テーマパーク旅行は直前予約が多いなど、販売施策のタイミング調整が重要です。また、旅行目的別に予算や予約チャネルが異なり、高所得層は公式サイトや旅行会社パッケージを活用し、家族旅行や友人旅行では早期計画・中間予算が中心となる傾向が見られました。


Eye-level view of a data analytics dashboard
データ分析ダッシュボードの目線レベルのビュー

はじめに

本ホワイトペーパーは、旅行・宿泊・レジャー業界向けのデータ分析ソリューション開発を目的として実施したアンケート調査(2025年8月・10月)の結果をまとめたものです。調査は全国の一般消費者を対象とし、旅行意欲や計画状況、旅行目的、同行者、予算、予約経路などについて質問しました。旅行業界や宿泊・レジャー施設のマーケティング担当者が、顧客のニーズやトレンドを理解し、具体的な施策に活用できるように、分析結果と示唆を提供します。


サマリー


2025年8月と10月に実施したアンケートでは、国内旅行経験者の増加と未旅行者の減少を背景に、旅行意欲は緩やかに高まりながらも中程度に留まることが分かりました。一方、目的や同行者によって予約タイミングが大きく異なり、温泉旅行は1~2か月前に計画される一方、テーマパーク旅行は直前予約が多いなど、販売施策のタイミング調整が重要です。また、旅行目的別に予算や予約チャネルが異なり、高所得層は公式サイトや旅行会社パッケージを活用し、家族旅行や友人旅行では早期計画・中間予算が中心となる傾向が見られました。本レポートでは、これらの違いをもとに各業界向けの提言を整理しました。


1. 調査設計と分析方法

1.1 調査概要

•             調査対象:全国の一般モニター 294 名(8月調査)/294名(10月調査)

•             調査手法:オンラインアンケート

•             主な設問

–            Q1:過去1年間の旅行経験(国内/海外/旅行なし)

–            Q2~Q4:旅行意欲・意向(現在の意欲、1年前との変化、3か月以内の計画)

–            Q5:同行者(13項目)

–            Q6:行きたい都道府県

–            Q7:旅行の目的(複数選択)

–            Q8:旅行地を選ぶ際に重視する点(複数選択)

–            Q9:出発までの日数

–            Q10:旅行の予算(自由記述)

–            Q11:予約経路(複数選択)

設問Q4「今後3か月以内に旅行(宿泊を伴う)に行く予定はありますか?」で「行きたいと思わない」を選択した回答者は以降の設問に進まない設計のため、Q5以降の有効回答数は8月190名、10月186名となりました。


1.2 データ処理と分析方法

回答データはのうち、自由記述の予算(Q10)は数値入力のみを対象とし、5万円以下、5~10万円、10~20万円、20万円超に区分しました。また、所得は調査票の15段階区分から低所得(1~4)、中所得(5~8)、高所得(9~15)の3グループを設定しています。


2. 業界セグメントの整理

旅行・宿泊・レジャー業界のプレーヤーは多様であり、ビジネスモデルや提供サービスに応じて細分化されます。Umbrex の報告では、旅行代理店やツアーオペレーターは「純粋なオンライン旅行代理店(OTA)」「ハイブリッドプラットフォーム」「統合型ツアーオペレーター」「伝統的旅行代理店・法人旅行管理会社」の4つのプレーヤーに分類されると指摘されています。さらに、宿泊業界はラグジュアリー、アップスケール、ミッドスケール、エコノミー、ブティック、オールインクルーシブといったカテゴリーに分けられ、それぞれが異なる顧客層を対象としています。レジャー・観光業界においては、エンターテインメント、リクリエーション、アトラクション、ラグジュアリー・ウェルネスなどのセグメントが存在し、体験の種類に応じた集客が求められます。

これらのセグメントに基づき、アンケートデータから各プレーヤーに対する施策を導き出すことを本分析の目的とします。


3. 調査結果の概要

3.1 旅行経験と意欲の変化

Q1では、過去1年間の旅行経験を尋ねました。8月調査時点で「国内のみ旅行した」は39.5%、「海外旅行した」は25.5%、「旅行していない」は35.0%でした。10月には「国内のみ旅行した」が45.9%に増加し、「旅行していない」は29.9%に減少しました。コロナ収束を受けて国内旅行の回復が続いている一方、海外旅行は微減となっています。

旅行意欲(Q2)を見ると、10月調査では「やや高い」が8月より増加し、「あまり高くない」が減少するなど、中程度の意欲へシフトしました。また、1年前との変化(Q3)では「やや低下」「大幅に低下」が増え、全体として旅行意欲が若干減退していることが伺えます。

旅行計画の有無(Q4)では、「行きたい意向はあるが予定はない」と回答した人が両月とも約27%、すでに予約を入れている人は8月12.6%、10月14.3%と微増しました。一方、「行きたいと思わない」は8月13.3%から10月14.6%へ増え、この層はQ5以降の設問に回答していません。


3.2 旅行目的別の予約リードタイム

旅行目的(Q7)は複数回答であり、代表的な目的ごとに出発までの日数(Q9)の分布を比較しました。

  • 観光・名所巡り:8月は「7日以内」が最も多かったが、10月は「31~60日」や「15~30日」に予約時期が分散し、早期計画が増えた。

  • グルメ・ビーチ・リゾート:半数近くが出発未定であり、直前予約も多い。10月調査で大きな変化は見られない。

  • 温泉・スパ:未定が51%と多いものの、他の目的より「31~60日」や「15~30日」の比率が高く、早めに計画する傾向がある。

  • テーマパーク・娯楽施設:7日以内や15~30日前の直前予約が多く、計画リードタイムが短い。

これらの違いを表にまとめると次のようになります。数値は各目的における出発までの日数の構成比(%)を示しています。

予約リードタイム

観光・名所巡り

グルメ・食事/ビーチ・リゾート

温泉・スパ

イベント/スポーツ・フェス

7日以内

21.3%

19.6%

16.5%

23.5%

8~14日

3.2%

6.0%

3.7%

8.8%

15~30日

6.9%

6.5%

7.9%

23.5%

31~60日

12.8%

10.1%

9.8%

5.9%

61日以上

9.0%

11.6%

11.0%

11.8%

未定

46.8%

46.2%

51.2%

26.5%

洞察:温泉・スパ旅行は他目的に比べ計画が早期化する一方、テーマパーク旅行は直前・短期予約が中心である。観光・名所巡りも秋に向けて計画が早まる傾向がみられ、季節要因を踏まえた販促が重要となる。


3.3 旅行目的別の予算

Q10では、旅行全体の予算を自由記述で回答してもらいました。数値回答を「5万円以下」「5~10万円」「10~20万円」「20万円超」に分類し、旅行目的ごとに構成比を比較しました。

旅行目的ごとの予算分布を以下の表にまとめました。自由記述で回答された金額を「5万円以下」「5~10万円」「10~20万円」「20万円超」に区分し、各目的ごとの構成比(%)を示しています。

予算カテゴリ

観光・名所巡り

グルメ・食事/ビーチ・リゾート

温泉・スパ

イベント/スポーツ・フェス

5万円以下

64.0%

65.0%

64.4%

73.5%

5~10万円

24.7%

27.4%

30.1%

14.7%

10~20万円

8.1%

6.1%

4.3%

0.0%

20万円超

3.2%

1.5%

1.2%

11.8%

洞察:いずれの目的でも5万円以下が最大の層であるものの、温泉・スパ旅行は10~20万円の中間予算が2割を占め、他目的よりやや高い。テーマパーク旅行は5~10万円の比率が45%と高く、家族や友人グループによる中間予算帯の旅行が中心であると考えられる。


3.4 同行者別の予約リードタイム

同行者(Q5)別に予約時期を集計すると以下のような違いが見られました。

同行者別に予約リードタイムを整理すると以下の通りです。子ども連れ(未就学児)など家族旅行では早めの予約が多い一方、一人旅やカップル旅行では直前予約の比率が高いことが分かります。

予約リードタイム

一人旅

配偶者・恋人

子ども含む家族(未就学児)

友人

7日以内

16.4%

21.1%

25.0%

18.9%

8~14日

3.3%

5.3%

16.7%

3.8%

15~30日

14.8%

7.4%

16.7%

9.4%

31~60日

11.5%

11.6%

8.3%

13.2%

61日以上

18.0%

12.6%

8.3%

11.3%

未定

36.1%

42.1%

25.0%

43.4%

洞察:家族旅行や友人旅行は1か月以上前から計画する割合が高いのに対し、一人旅やカップル旅行は直前予約の比率が高い。しかし10月調査では、一人旅でも予約時期が早まる傾向が見られ、宿泊施設や旅行会社は直前割引だけでなく、早期検討層向けの情報提供も必要である。


3.5 所得層別の予約経路

所得別に予約経路(Q11)の利用割合を集計した結果を表に示します。

所得グループ(低所得=INCOMEコード1~4、中所得=5~8、高所得=9~15)別の予約経路利用率を以下の表にまとめました。数値は各グループの回答者がそのチャネルを選んだ割合(%)を示しています。

予約チャネル

低所得

中所得

高所得

OTA

30.2%

40.1%

42.9%

宿泊施設公式サイト/電話

11.6%

14.1%

23.8%

交通機関公式サイト

7.8%

9.2%

11.4%

旅行会社パッケージ

14.7%

14.8%

18.1%

現地で直接予約

2.3%

2.1%

9.5%

その他パッケージ/サブスク

3.9%

2.8%

4.8%

タイムセール・日帰り等

1.6%

1.4%

1.0%

会員サイト

34.1%

20.4%

15.2%

その他

10.9%

9.9%

8.6%

洞察:OTAは全所得層で最も利用率が高いが、高所得層では宿泊施設公式サイトや旅行会社パッケージの利用割合が増加し、複数チャネルを併用する傾向がある。低所得層は価格比較が容易なOTAに集中する傾向が強い。


4. 業界別インサイトと施策提言

4.1 旅行代理店・ツアーオペレーター

  • 目的別・同行者別に販促タイミングを最適化:温泉旅行は1~2か月前に予約する割合が高く、テーマパーク旅行は直前予約が多い。各商品カテゴリの予約リードタイムを踏まえ、早期割引や直前割引の配信時期を調整する。特に家族旅行や友人旅行は早期計画するため、グループ向けパッケージや日程調整機能を備えた予約サービスを提供するとよい。

  • 顧客セグメント別のチャネル戦略:高所得者は公式サイトや旅行会社パッケージ利用率が高く、低所得者はOTA偏重である。収益性の高い顧客を直販チャネルへ誘導するために、ロイヤルティプログラムや会員限定特典を強化する。一方、価格感度の高い層にはOTA上での広告・割引を活用する。


4.2 宿泊施設(ホテル・旅館)

  • カテゴリー別の商品設計:温泉・スパ目的の旅行者は予算が高めで早期予約が多い。ラグジュアリー/アップスケールホテルは、スパや特別な食事を組み合わせたパッケージを早期予約特典として提供すると効果的。テーマパーク旅行者は中間予算帯が中心で直前予約が多いため、ミッドスケールやエコノミー宿泊施設では直前割引や入場券付きプランを用意する。

  • 家族旅行への対応:小さな子ども連れの旅行では予定調整や準備に時間を要する。連泊割引、子ども向けアクティビティ、ファミリールームなどを含むパッケージを早期に告知し、家族層の予約を取り込む。また、ベビーカー利用や食物アレルギー対応などきめ細かな情報提供を公式サイトに記載する。

  • 直販比率の向上:高所得層は宿泊施設公式サイトを利用する割合が高いため、公式サイトの予約システムを使いやすくし、会員専用価格やアップグレードなどの特典を提示することで、OTAからの移行を促す。


4.3 レジャー施設・観光地

  • エンターテインメント施設の直前訴求:テーマパークやコンサートなどは直前予約が多いため、SNSやアプリによるタイムリーな割引告知やダイナミックプライシングが有効。特定の休日やイベント前にチケットをまとめ買いするとお得になるキャンペーンを設計する。

  • ウェルネス施設の長期計画化:温泉や自然体験などリクリエーションは早めの予約が多い。季節限定のイベントやリトリートプログラムを2~3か月前から告知し、交通や宿泊と連携したパッケージ販売を行う。ファン育成のための会員制度やギフト券販売も検討する。

  • 文化・アトラクションとの連携:観光・名所巡りが秋に向けて増えている。博物館や文化施設と宿泊施設、旅行代理店が連携し、周遊パスや特別ツアーを企画することで、地域全体の旅行消費を高めることができる。


5. まとめと今後の展開

本ホワイトペーパーでは、2025年8月と10月に実施したアンケート結果をもとに、旅行目的別・同行者別・所得層別に旅行計画の傾向を分析し、旅行代理店・宿泊施設・レジャー施設それぞれに対する施策を提言しました。特に、目的によって予約リードタイムや予算が大きく異なること、家族旅行や友人旅行では早期計画が一般的であること、所得層によって予約チャネルの利用傾向が異なることが明らかになりました。

今後は、本調査を基に地域別や季節別、年齢層別の分析をさらに深掘りし、マーケティング・コンサルティングサービスとしてクライアントの課題に応じた詳細な提案を行っていきます。お問い合わせや個別の分析依頼は、弊社データソリューション事業部までお気軽にご連絡ください。

 
 
 

コメント


bottom of page